従業員の副業を全面的に禁止することはできない 副業を認めるうえでの注意点とは?

最近、従業員の副業を認める会社が増えてきています。その中には、ロート製薬やサイボウズといった
大手企業も含まれており、新しい働き方のひとつになるのではないかと期待されています。そこで今回
は、従業員に副業を認める場合の注意点について紹介していきます。

本業に支障をきたす場合は副業を禁止できる

まずは「副業を禁止できるのか」を見ていきましょう。過去の判例によると、「職場の秩序に影響せず
、格別な支障を生じないのであれば違法にならない」とされています。社員の副業を就業規則で全面的
に禁止することは認められないのです。
 一方で、いかなる副業でも認められるわけではありません。以下の4つに該当する副業は禁止できる
とされています。
  1. 本職と勤務時間が重なる兼職
    仕事中に副業先のメールを確認することは専念義務に違反するといえます。
  2. 過度の長時間労働を予期できるなど本業に支障をきたす可能性の高い兼職
    副業による遅刻や欠勤が多くなったと判断される場合は副業を禁止できます。6時間を越える深夜ア
    ルバイトをしていた従業員の解雇ができた判例もあります。
  3. 競業他社への労務提供
    競合となる企業への労務提供は、会社の損失につながる可能性があると認められるので禁止できま
    す。
  4. 違法な仕事をして会社の品位を落とすおそれがある業務
    反社会的勢力とのかかわりが必要など、会社の品位を落とすおそれがある副業については禁止する
    ことが可能です。

本業+副業の労働時間を規制範囲に抑えなければならない

 副業の解禁が「従業員のスキルが向上する」といったプラスの効果を生み出す一方で、マイナスに働
く部分ももちろんあります。一番懸念しなければならないのは「労働時間」です。
 副業をしている従業員の労働時間は、本業と副業の合計が規制の範囲内におさまっていなければいけ
ません。また、副業をしている従業員が自社と別の組織で働いている場合には、合計時間が8時間以上
を超えてしまうと割り増し賃金を払う必要があります。
 労働時間のコントロールの仕方を考えてから、副業の解禁をするべきでしょう。
詳しいことは当事務所にお問い合わせください。