国際税務の取り扱いにかかる租税条約

1.課税の原則

<日本をはじめ多くの国々の課税の原則>

・自国の法人や個人(内国法人・居住者)

⇒ どこの国で生じたかにかかわらずすべての所得に対して課税。

・他国の法人や個人(外国法人・非居住者)

⇒ 自国内で生じた所得に対してのみ課税。

2.租税条約がなかった場合

アメリカ法人が日本で生じた所得については

アメリカでは ┉ すべての所得に対して課税するので課税。

日本では ┉┉ 日本で生じた所得なので課税する。

⇒ 同じ所得に対して国際間の二重課税が生じてしまう。

*二重課税が生じると、企業の海外進出の妨げになる。また、国際的な投資・経済活動の妨げとなる恐れがある。

3.租税条約による課税権の調整

二重課税を生じさせないためには、アメリカ法人の日本で生じた所得に日本で課税できないようにする。

日米租税条約によって、「日本での課税を免除する。」「日本で課税はするが低率の税率で課税する。」などの取り決めを行うことで調整する。

*租税条約は、居住地国(アメリカ)と所得源泉地国(日本)が異なる場合に所得源泉地国での課税範囲を制限するもの。

4.国際間の二重課税が生じた場合

居住地国における税法に従って、外国税額控除を行って、二重課税を排除する。

【アメリカに本店を有するA社が、日本の内国法人甲社から配当を受けた場合】

アメリカでは ┉┉ アメリカの国内法により、その配当に対して課税される。

日本では ┉┉ 日本の国内法により、課税される(税率20.42%)こととなるが、

日米租税条約の取り決めにより、配当に対しては税率5%で課税

(源泉徴収)する。

その後、アメリカにおいて日本で課税された税額を外国税額控除の規定に従って控除する。

5.租税条約の内容

租税条約は国と国との取り決めなので、全世界一律ではない。同じ取引であっても相手国が異なると課税関係が違うこととなる。

〈C国の法人がD国から配当を受け取った場合〉

C国⇔D国 の租税条約

『D国は、C国の法人が受け取る配当について、D国では税率10%まで課税する。』

・D国の国内法において、「外国法人が受け取る配当は免税」となっていたら

⇒ 租税条約により10%の課税がされることはない。 その国の国内法が優先する。

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